鉄拳開発チームの米盛氏インタビュー。本大会への思いはもちろん、制作での裏話や今秋発売予定の家庭用版でのポイントなど語ってもらった。
■「鉄拳をあまり知らない人でも見てもらえれば追い詰められた状況から大逆転した時の興奮を味わってもらえると思います。」
──軍総杯など大きな大会を見に行かれているかとは思いますが、開発者から見た大会の感想をお願いします。
軍総杯は素直に驚きました。あの熱量は死人が出てもおかしくないんじゃないか、という状況でしたね(笑)鉄拳は今まで大規模な大会がうまく継続していかなかったという経緯もありますから…、プレイヤーさん主体で開催される大会は我々としても非常にありがたいです。
──大江戸鉄拳夏祭(*1)以降、全国規模でのオフィシャル大会は開かれていませんが今後オフィシャル主催の全国大会が開催される予定はありますか。
個人的には公式大会も開催できればと思いますが、いろいろな制約や解決しないといけない問題もありますのでなかなか難しいのが現状です。
──鉄拳の派手な演出や爽快感で大会の盛り上がりに一役買っていると思うのですが、そこは意識して作られているのでしょうか。
大会を盛り上げる為の演出を狙っているわけではありませんが、鉄拳をあまり知らない人でも見てもらえれば追い詰められた状況から大逆転した時の興奮を味わってもらえると思います。そういう意味ではゲームを遊ばない人でも試合結果や読み合い、展開が分かり易くなるように意識はしていますね。例えば、強い技のヒット時は痛そうに見えガードした時に重く見えるように心がけてます。鉄拳プロジェクトのモーションチームは「痛みを上手く表現してほしい」という要望等にしっかり応えてくれて、
表現力に関しては業界でもトップクラスだと思っています。
──大会結果が今後のゲームバランスの調整に反映される事はありますか。
全く無いとは言えませんが、猛威を振るった技があれば検証したりもします。プレイヤーが神がかっている場合もありますし、単純に優勝したキャラを弱くしたりすることはありません。
──闘劇は見に行かれてますか。
闘劇は開発業務の山場に当たることが多いのですが、必ずスタッフが顔をだしています。
──過去、闘劇の試合をライブモニターで流されましたが今後そういった予定はありますか。
闘劇スタッフさんとも話を詰めなければならないので今年は未定ですが、出来ればいいなと思っています。
──鉄拳6BRからライブモニターの機能として店舗で行われる大会動画が残るようになりました。
鉄拳6の際にオペレーターやプレイヤーから上がってくる声の中で実現可能な物を搭載しました。細かい容量は忘れましたがたくさん録画できるようにしています。
──では以前イベントモード中のリプレイがスキップできなかったのですがバージョンアップでスキップが出来るように変更されたのもユーザーの声を反映したのでしょうか。
そうですね。仕様通りだったのですが結果的には申し訳ないという感じでした。要望が上がってきた後、検討の上すぐに対応しました。
■「新鮮な寿司を食べに行く観光目的もありますし(笑)」
──バーチャファイターはVFターミナルに大会モードが搭載されていますが今後の鉄拳では設置や搭載予定はありますか?
正直欲しいかなとも思うけれども人数やルールや大会方式と全てに対応出来る物を作らないと喜ばれないでしょうから難易度は高いですね。海外だとEVO方式があったりとルールも含め多数存在しますし、・・・今は家庭用でお腹いっぱいな状況です(笑)あとターミナルの設置に関しては価格にも影響があるでしょうから、オペレーターに負担をかけるのは良くないと思います。皆が幸せになるような仕様で実現できるなら良いと思いますが難しいですね。時代の流れ次第の一面もありますから、リリースする瞬間に向けて良いものを作っていきたいと思います。
──鉄拳6から液晶画面のDX筐台が投入されましたがこだわり等ありましたら教えてください。
格闘ゲームはレスポンスが一番大事なんですよね。操作感覚が気持ちの良いものでも画面表示の遅延が起きると台無しになってしまいますので筐体に使用する液晶の性能比較、選定は念入りに行いました。またプレイヤーにとって見やすい角度になるように筐体に対しての画面の角度にもこだわっています。
──鉄拳開発チームの方々は今作をプレイしているのでしょうか。
TEKKEN-NETに登録しているスタッフもかなり多いですよ。ゲームセンターではないですが開発内に鉄拳を対戦できる環境を用意していて、対戦するスタッフには社内用のカードを配布しています。昼休みや休憩時間には違う部署の人なども集まって対戦が盛り上がっていますね。開発中であればそこでの意見や問題が調整に反映されたりもします。
──タイムリリースはもうやらないのでしょうか。
必要であればやろうかと思います。誰も見たこともない新キャラだと喜ばれると思いますが既存のキャラだと喜ばれないですよね。
──家庭用の話をお聞かせ下さい。毎回多数のコンテンツを盛り込む家庭用ですがポイントなどありましたらお聞かせください。
今回の家庭用「鉄拳6」はシナリオキャンペーンというアクションモードが目玉となります。戦闘中はアーケード版鉄拳の操作でプレイ可能で、火炎放射器やガトリングガンなどの武器を使用することができます。キャンペーン内限定ですが、装備品に体力最大値の増加や攻撃力アップ、スタンなどの特殊効果を付与したりと盛りだくさんの内容になっています。ボリュームも従来のおまけモードとは比較にならないほど圧倒的に多いです。楽しみにして下さい。
──有名イラストレーターや漫画家の方々がデザインした新コスチュームがありますが今回は全キャラ分ありますか。
全キャラ分はありません。担当キャラクターについては開発側から依頼する場合や作家さんからの希望で決まったりと様々ですね。
──鉄拳は新作のリリース周期はありますか。
決まった周期はありませんね。家庭用も業務用も同じスタッフなので、家庭用の開発が終わったら考えていきたいと思います。
──家庭用の予約購入時の特典があるようですが。
家庭用の予約特典としてはアーケード版で拳闘気(赤)がもらえるパスワードがあります。TEKKEN-NETに加入していればパスワードを入力して拳闘気が受け取れるという仕組みです。
──最後にマスター富山杯についての一言お願いします。
スタッフの方々が参加者への配慮もかなり考えて運営をされているようですし参加者に優しい大会のようですね。新鮮な寿司を食べに行く観光目的もありますし(笑)理想的な大会の一つだと思います、皆さん楽しんできて下さい。
(*1) 鉄拳4で開催されたオフィシャルの全国大会。