鉄拳5on5には欠かせない、鉄拳世界最高峰実況&解説のゲンヤ、ハメコ。の両氏。MASTERCUP.5・6や、大会の楽しみ方を語ってもらった。
「日韓チーム優勝というのは、一つの面白い形ではあったね。」
――MASTERCUP.5の感想をお願いします。
ハメコ。:
MASTERCUP.5は決勝のインパクトが強すぎたね。
ゲンヤ:
ぺこスの決勝逆5タテですね。あれはもう、皆忘れられないんじゃないかなぁ。他には何があったかって言うと、しゃなのチームがHelp meら韓国チームを倒したりですか。
ハメコ。:
あぁそうだね。うちのチームが負けた韓国チーム(笑)。
ゲンヤ:
鉄拳TAG2世代が大物食いをしていた状況が目立った印象ですね。もちろん、中には鉄拳6でも強かった奴らも多いんでしょうけど。
ハメコ。:
うん、TAG2の始まりだった。AOのチームも活躍してたよね。ポンのキングが強かった。
ゲンヤ:
ラティンもですね。鉄拳TAG2に順応した若手達の破壊力を見せつけられました。
ハメコ。:
出会い頭に銃を打ってくる奴らね(笑)。
ゲンヤ:
それっす(笑)。だから、鉄拳TAG2のゲーム性を再認識させられたのかなって。野試合とかでもそういった状況は見ていましたが、やっぱそうだったか!みたいな(笑)。
ハメコ。:
確かに。こういう戦い方をするゲームなんだなって改めて思ったのはあるね。
ゲンヤ:
ただ、今にして思えばプレイヤースキルとゲームシステムが成熟しきっていない時期の大会であったからこそ、表面上のゲーム性が色濃く出たのではないかと。今現在であれば、あそこまでのハリケーンはMASTERCUP.5程の大きさでは起きないんじゃないかって気はします。
ハメコ。:
AOのチームに関しては、やはりAOが決勝まで一度も試合をしていないまま大将戦を迎えてしまったというのがね。あんな状態で逆4タテしてる奴と当たればそりゃキツいって。
ゲンヤ:
そうですね。あとは会場がアウェーになってしまったのもあると思います。ぺこスコールが起こっていましたから。
ハメコ。:
とにかくMASTERCUP.5は決勝だね。それに尽きる。
――そのMASTERCUP.5以降、開催地が富山から東京になった事についてはどうでしょうか。
ハメコ。:
俺は富山も東京もどっちも好きだなぁ。富山は皆で行くぜ!ってところが楽しかったし、メシも美味かった。
ゲンヤ:
皆で行くぜっていう面白さは、今は地方のプレイヤー達が感じる形になりましたよね。東京行くぜ!って。スケールも大きくなって、MASTERCUP.5の参加人数が125チーム625人。皆ヤベーヤベー言ってた記憶があります。
ハメコ。:
あと、東京で開催される事によって同窓会色が強くなったと思う。MASTERCUP.5は鉄拳おじさんの出場も多かったから(笑)。それは東京開催の一つのメリットなんじゃないかな。
――MASTERCUP.6の感想をお願いします。
ゲンヤ:
MASTERCUP.6は…いよいよ韓国が本気になったなというのが最初の衝撃です。knee来るんだけど!みたいな。
ハメコ。:
そうだね。
ゲンヤ:
それまでも、JDCRであったり、Help meであったり、韓国の他のトッププレイヤーが来日した事はありましたけど、世界最強と目されるkneeの来日は鉄拳5DR以降無かったですからね。そして参加選手も150チーム750人と大幅に更新。試合内容としてMASTERCUP.6全体を通して見て一番インパクトがあったのは、やはりしゅうでぃの韓国撃破じゃないでしょうか。
ハメコ。:
あれは盛り上がったねえ。
ゲンヤ:
しゅうでぃが韓国チームを4人抜きした形になりましたけど、ぶっちゃけ言ってしまえば韓国の5人、この一人一人がしゅうでぃのチームを5人抜きする力はあったと思うんです。いや、しゅうでぃのチームが決して弱い訳では無いんですが、それでもなお。にも関わらずしゅうでぃがほぼ一人で倒しきってしまったと。
ハメコ。:
あの試合はライブ感が凄かった。やっぱりそれは外の国から来てくれてる韓国を倒したからこその盛り上がりだったんじゃないかな。加えて、向こうから来てくれるっていうのが面白いところっていうか、鉄拳の「らしさ」が出たんじゃないかなって気はする。
ゲンヤ:
そういった傾向は他のタイトルにはあまり無いんですか?
ハメコ。:
例えばストリートファイターなんかは、日本の強い人達が外国に出張るっていう形がほとんどじゃない。そうしてアウェーの中で勝ち上がっていくのが、観戦してる側としては面白いわけ。結果としては、韓国チームはしゅうでぃにやられてしまったけれども、韓国チームのプレイヤーは本当にハートが強いと思うんだよなあ。だって完全にアウェーなんだよ? 選手だけでも750人が参加する大会で、仲間なんてチームメイトの他にあと数名でしょ? 良くて。
ゲンヤ:
これまで数多くの大会を観てきたハメコ。さんから見ても、ホームなのかアウェーなのかは重要な要素になるんですね。
ハメコ。:
まあ、慣れてる人達は全く気にしないし、プレイヤーにもよるんだろうけどね。選手達もそうなんだけどさ、観戦者としてはやっぱり違う国の人達同士が本気でぶつかり合っているっていうその構図が面白いよね。鉄拳とは少しズレた話になるんだけど、日本人が日本で普通に生活している中では、自分が日本人だって自覚する事ってほとんど無いと思うんだ。でも、選手として、観戦者としてそういう場に居る時には「自分は日本人だ」って感じてると思う。それをMASTERCUPみたいに自分の国で体験出来るのは凄く良い事であり、鉄拳の良さなのかなって。やっぱり鉄拳の歴史って日本と韓国が作ってきたと思ってるから。それが毎年観られるんだから、韓国チームを呼んでくれたり、彼らが来てくれるってのは本当に有難いよね。
ゲンヤ:
仰る通りですね。そうそう、以前から僕が思っていた事で、しゅうでぃのあの試合を観て更に強まった想いがあって……。MASTERCUPへの参加についてなんですが、一般的なプレイヤー層から、ネットでもリアルでも「どうせ出ても勝てないから……」という意見を度々耳にします。なんとなく分かるんですけど、でも絶対に勝てないなんてことは絶対に無いし、むしろ「絶対勝てねーよ……」って思う位強い相手にMASTERCUPの舞台で勝てたら、そんなに気持ちの良いモンは無いと思うんですよ。参加する事がもし出来るのであれば、勝てないだろうからって理由で参加を諦めるのは勿体無さすぎると僕は思うんですよね。
ハメコ。:
鉄拳勢でもそういう意見って多いんだ。他のタイトルに比べたら、鉄拳は少ないもんだと思ってた。
ゲンヤ:
昨今増えてきたってのはあるかもしれません。
ハメコ。:
ふうん。それは鉄拳勢の中にも、家庭用で少しネット対戦をするぐらいの人が増えてきたってことなのかもね。そういう人にとっては、やっぱり大会に出るのって結構ハードルが高いだろうから。
ゲンヤ:
なるほど。
ハメコ。:
個人的には、鉄拳はまだまだ家庭用のネット対戦よりもアーケードが主流に思えるんだよね。アーケードでプレイしている人の方が、大会に参加するうえでの心理的障壁は少ないと思ってて、だからそういう意見は少ないんじゃないかって。
ゲンヤ:
凄く納得させられました。まぁ僕もその考えを強制するつもりは勿論無いですし、人それぞれですから。ただ、勝てないから出ないって考えるのではなく、もし出たとして気持ち良く勝てたり、単純に大会を楽しめるチャンスではありますから、ハメコ。さんの言う様にただなんとなくでも大会に参加してくれる人が増えたら良いなと、そう思います。負けたら負けたで観戦者として大会を楽しめば良いし(笑)。
ハメコ。:
やっぱり、現地で観る面白さっていうのはほかのやり方じゃ味わえないから。
ゲンヤ:
家でお酒飲みながら自分だけの空間で配信を楽しむ!とかっていうのも凄く良いと思います。ただやっぱりあの会場の熱気は画面だけでは伝わらないところもありますから。
ハメコ。:
観戦者としてでも、出来る事なら会場に脚を運んで貰いたいね。
ゲンヤ:
MASTERCUP.6の決勝トーナメントを振り返りますか。ベスト8中3チームが九州でしたね。
ハメコ。:
九州は層が厚いよね。まあ、九州は鉄拳4の時代から強かった地域ではあるんだけど、大舞台でここまでの結果を出せたのは初めてじゃないかな。
ゲンヤ:
そして他の地域からも九州は強いと認識されるようになりましたね。一回戦の組み合わせとしては、ノビのチームとデクことりょうのチームの試合が盛り上がりました。序盤はノビチームの古水が爆発して。
ハメコ。:
そう。古水の普段の強さは勿論知ってるんだけど、これまでの大会ではその強さを発揮しきれずに負けていくパターンも多かったから、珍しく強えーなって(笑)。MASTERCUP.6は古水にしろデクにしろ強かった。
ゲンヤ:
古水が三人抜きからデクが二人抜きして盛り返し、ノビ対デクの日本頂上決戦でノビが勝利でしたね。この三人が強かったというのはやはり、MASTERCUP.5ではプレイヤースキルよりもゲームシステムによって勝敗が左右された試合が少なくなかったのに対し、一年経ったMASTERCUP.6ではスキルが勝敗に反映されやすくなった部分もある気がします。
ハメコ。:
どのゲームもそうだけど、稼働期間が長くなるにつれて、本当にやり込んでいるプレイヤーが結果を出しやすくなっていくからね。
ゲンヤ:
しかしノビチームは続く準決勝のAOやqudans擁する日韓混成チームに破れる形でしたね。ノビが勝ち確定コンボの最後の一打をミスしてしまって。
ハメコ。:
あれは凄く面白い試合だったよ。まぁ結果は仕方ない部分もあるからね。失敗なんて誰でもあるんだから。何より、あの状況から持ち直したqudansが凄かった。
ゲンヤ:
ノビ視点から見れば、たまたま一回のコンボミスが最重要なところで起きてしまった。コマンドが簡単なコンボで良かったかもしれないけど、それで殺し切れたかどうかはかなり際どかったですからね。だからノビも難しくも減る方のコンボを選択したというのはあると思います。
ハメコ。:
失敗したとはいえ、あそこで難しいコンボにいくのはノビらしくて面白かったよ。これぞノビだなって。
ゲンヤ:
そしてノビを逆3タテしたqudansが、勢いそのままにユウさんと影丸を破って決勝進出と。qudansの精神力でしたね。
――鉄拳5DR軍総杯の頃からもqudans始め韓国勢は強い精神力を持っていたのでしょうか。
ハメコ。:
そういう状況に慣れているのか、或いはちゃんと考えているからなのかはわからないけど、本当にハートが強いよ。何度も日本に来てもらっているけど、アウェーであるにも関わらず、勝負強さの面で常に上回られてる気はする。それはNinもそうだし、チャン・イクスだってそうだった。
――そして決勝の組み合わせはその日韓混成チームと九州チームとなりました。
ゲンヤ:
決勝の見所としては、九州のゆったりゆーきが、先鋒戦でAOのミゲルのチェンジ際、オートガードを読み切ってガード不能を当てて勝利したところでしょうか。
ハメコ。:
九州の若手って、大会だからヒヨったりっていうのがあんまり無い気がする。
ゲンヤ:
鉄拳でも九州男児が出ているんですかね。
ハメコ。:
喧嘩のやり方を知ってるんだろうな(笑)。
ゲンヤ:
決勝の展開は総力戦でしたよね。一進一退の攻防が続く中、日韓混成チームのポンが絶妙な壁コンボを決めて優勝。MASTERCUP.5で準優勝だったAO、ゼウガル、ポンは雪辱を晴らす事が出来たと。
ハメコ。:
日韓チーム優勝というのは、一つの面白い形ではあったね。
後ろの方も試合観戦出来るように、筐体周辺は選手、観戦者も座っての観戦にご協力ください。
また、筐体や会場に複数ゴミ袋やゴミ箱を用意いたしますので、そちらに捨てるようにお願いします。
イベントの今後の継続にも左右いたしますので、モラル向上のご協力よろしくお願いします。
■大会概要
『MASTERCUP.7 TEKKEN 5ON5 TEAM BATTLE GP2014』
日時:2014年11月2日(日)7:30~
開催地:東京レジャーランドパレットタウン http://www.yamazakiya.co.jp/area/
住所:〒135-0064 東京都江東区青海1丁目3-8
タイトル:アーケード 鉄拳TAG2U
大会形式:5on5
実況・解説:ゲンヤ・ハメコ。
参加費:1チーム15,000円
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